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国立国会図書館には、川瀬巴水の木版画を綴じた『川瀬巴水版画集』2冊(計124枚)が所蔵されています。昭和10年(1935年)に図書館が受け入れた、巴水の生前に版元・渡邊庄三郎のもとから出た摺りです。デジタルコレクションで誰でも高精細に見られるこの資料を手がかりに、余白のどこを見ればよいかをまとめました。
結論
国立国会図書館の『川瀬巴水版画集』(第1冊50枚・第2冊74枚)は、帝国図書館の受入印から1935年5月までに摺られた生前の摺りと分かる資料です。巴水の版画は、余白の題箋(シリーズ名・作品名・制作年)、落款と印、版元表記の3か所を見ます。ただし生前の摺りでも、版元表記は「版権所有 渡邊庄三郎」の枠付き、「版元 渡邊版畫店」の文字だけ、上に丸い印の付いた縦長の枠など作品によって違い、表記の形だけで初摺かどうかは決まりません。同じ図柄の画像と、色・紙・余白を見比べるのが確実です。
お手元の巴水、いつ摺られたものか写真で確認します
表・裏と、題箋(作品名と年)・余白の版元表記が分かる写真を送っていただければ、摺りの時期と買取の目安を査定担当が確認してお返事します。額に入ったままでも構いません。
査定料・相談料は無料です。売るかどうかは査定額を見てからお決めください。お断りいただいても費用はかかりません。
『川瀬巴水版画集』は、渡辺版画店(目録上の表記は「渡辺画版店」)の名義で国立国会図書館に所蔵されている2冊で、 第1冊の表紙には「五十枚」、第2冊には「七十四枚」と記されています。 どちらも本ではなく、実際の木版画を台紙に貼り込んだものです。
第1冊の表紙には、前身の帝国図書館の受入印があり、昭和10年5月11日の日付と「内交」の文字が読めます。 内務省から図書館に移されたものとみられ、少なくとも1935年5月までに摺られていたことが確かです。 巴水は1957年に亡くなっているため、ここに収められているのはすべて生前の摺りです。
どれも絵柄の外側、余白に近い位置にあります。額装のときにマットで隠れたり、余白を切り詰められたりしていると見えなくなるため、写真を撮るときは余白まで写してください。 題箋・落款の読み方は落款・印章から作家を調べる方法でも解説しています。
124枚の中には、版元表記の形が違うものが混在しています。いずれも1935年までに摺られたものです。
第2冊の「奈良二月堂」(昭和九年五月作)にも、上部に飾りのある縦長の枠の表記が見られます。 このように、生前の摺りでも作品によって表記の形が違うため、表記の有無や形だけで「初摺」「後摺」を言い切ることはできません。 当店では、表記の形と位置に加えて、色の深さ・ぼかしの出方・紙の状態をあわせて摺りの時期を判断しています。
余白の端に押された小さな赤い印(ひょうたん形)は、多くの作品で同じ位置にあり、図書館が受け入れた際の印とみられます。作品自体の印ではありません。
題箋の「昭和三年作」などの年は、その図柄が作られた年です。巴水の人気作は同じ版元から後年にも摺られており、 制作年が古くても、手元の1枚がその年に摺られたとは限りません。 版元の渡邊庄三郎は1931年に「初摺を売り尽くしたら絶版にする」と述べていますが(版元・渡邊庄三郎が語った新版画)、市場には後年の摺りも多く出回っています。
図書館の資料は90年近く経っているため、紙の色や褪色の具合はお手元の作品と同じにはなりません。色は「濃淡の段階」や「ぼかしの幅」で比べるのがコツです。
| 見る場所 | 国会図書館の生前の摺りで確認できること | 査定での扱い |
|---|---|---|
| 題箋 | シリーズ名・作品名・制作年(例:東京二十景/昭和三年作) | 作品の特定。年は図柄の年で、摺った年ではない |
| 落款と印 | 「巴水」の署名と赤い丸い印 | 作家の確認 |
| 版元表記 | 枠付き「版権所有 渡邊庄三郎」、文字だけの「版元 渡邊版畫店」、丸い印付きの縦長の枠など | 摺りの時期の手がかりの一つ。形だけでは決めない |
| 色・ぼかし | 高精細画像で細部まで比べられる | 摺りの質。初摺に近いほど評価が高い |
| 余白 | 題箋・版元表記は余白寄りにある | 切り詰められていると判断材料が減る |
お手元の巴水、いつ摺られたものか写真で確認します
表・裏と、題箋(作品名と年)・余白の版元表記が分かる写真を送っていただければ、摺りの時期と買取の目安を査定担当が確認してお返事します。額に入ったままでも構いません。
査定料・相談料は無料です。売るかどうかは査定額を見てからお決めください。お断りいただいても費用はかかりません。
「版権所有 渡邊庄三郎」の印があれば初摺ですか?
それだけでは決まりません。国会図書館に1935年に納められた生前の摺りでも、版元の表記は「版権所有 渡邊庄三郎」の枠付きのもの、「版元 渡邊版畫店」の文字だけのもの、上に丸い印が付いた縦長の枠のものなど、作品によって異なります。表記の形に加えて、摺りの色・紙・余白の状態をあわせて判断します。
題箋の「昭和○年作」は摺った年ですか?
いいえ。題箋の年は、その図柄が作られた年です。同じ図柄は後年にも摺られているため、摺った時期は版元表記や摺りの質、紙の状態から見極めます。
余白が切られている巴水の版画も買取できますか?
買取できます。ただし題箋・版元表記は余白にあることが多く、切り詰められていると摺りの時期を判断する材料が減るため、評価に影響することがあります。額に入ったままの写真でも構いませんので、まずはお送りください。
自分の作品と国会図書館の画像を見比べるにはどうすればよいですか?
国立国会図書館デジタルコレクションで「川瀬巴水版画集」を開き、同じ図柄のページを探します。題箋の作品名と年、版元表記の形と位置、色の出方を比べてください。判断に迷う場合は、表・裏・余白の写真を当店にお送りいただければ確認します。